– 食について知る・学ぶ –
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牛から搾ったままの状態の乳を「生乳(せいにゅう)」といい、工場で検査や加熱殺菌をして容器に詰めたものを「牛乳」といいます。
牛乳が食卓に届くまでに、酪農場で搾った生乳を指定生産者団体(農協)に集め、牛乳工場で加工して、出来上がった牛乳をお店などに運ぶというルートがあります。
牛乳は、輸送・保管・販売のすべてにおいて10℃以下の冷蔵流通が乳等省令(にゅうとうしょうれい)に定められ、消費者の手に届くまで衛生的に管理され、新鮮さが保たれています。
生乳をしぼるための牛を乳用牛といいます。
乳用牛は主に5種類です。品種によって、適した気候や乳の性質が異なるため、飼育する環境と目的に合う種類を育てます。
乳用牛は分娩すること(子牛を産むこと)で乳を出すようになります。
また、乳を安定的に供給するためには、分娩サイクルを回し続けることが重要で、与える配合飼料や飼育管理によってこのサイクルを保っています。
離乳後は代用乳をぬるま湯でといたものを与え、その後、人間でいう離乳食にあたる「人工乳」を与えて、固形飼料に慣れさせていく。
乾草や牧草を配合した飼料をしっかり与えて丈夫な体をつくる。
POINT
乳用牛は出産した後、約1年間毎日搾乳(さくにゅう)し、この期間を泌乳期といいます。
50日〜110日頃が最もたくさんの乳を出し、その後徐々に減り始めます。
搾乳(さくにゅう)を始めて約1年間たったら搾乳を止め、次の分娩に備えて60日〜90日休ませます。
この期間を乾乳期といいます。
日本では北海道で酪農が盛んで、生乳の多くは北海道で生産されています。
国内の生乳生産量(TOP5)
酪農場で搾乳した生乳を集め、牛乳工場で加工します。
よりおいしく安全な牛乳となって出荷されるまでに、様々な工程を経ています。
工場に運ばれた生乳は、牛乳などの原料乳として受け入れ可能か判断するために10種類以上の検査を行い、タンクローリーから貯乳(ちょにゅう)タンクに送ります。(10°C以下に冷却)
生乳の中の目に見えないゴミや異物を機械で取り除きます。
強い圧力をかけて乳脂肪球を細かい粒子にすることで、均一な味わいにし、消化吸収もしやすくなります。
検査で合格した牛乳は保冷車で、学校やスーパーマーケット、パン・菓子工場などに運びます。
殺菌処理した生乳は容量に応じて牛乳容器に詰め、容器に賞味期限または消費期限を印字します。
加熱して生乳中の細菌などを死滅させ、すぐに10℃以下に冷却します。
生乳には腐敗や食中毒の原因となる細菌がいることもあるため、細菌を死滅させるために「加熱殺菌」が行われます。
この「加熱殺菌」にもいくつか種類がありますが、牛乳は、殺菌温度と殺菌時間を容器に表示するよう義務づけられています。
日本で市販されている牛乳の殺菌方法は、より高い安全性を確保できることから「超高温瞬間殺菌(UHT)」が主流となっています。殺菌方法によって栄養成分が大きく変化することはありません。
殺菌方法 | 概 要 | 殺菌効果 |
---|---|---|
低温保持殺菌(LTLT)(ていおんほじさっきん) |
生乳を保持式(ほじしき)※1で 63〜65℃で30分間加熱殺菌する方法 |
すべての細菌などを死滅させることはできないが、人間に有害な細菌などは死滅するため、冷蔵保管により一定期間は安心して飲むことができる |
連続式低温殺菌(LTLT)(れんぞくしきていおんさっきん) |
生乳を連続式(れんぞくしき)※2で 65〜68℃で30分以上加熱殺菌する方法 |
|
高温保持殺菌(HTLT)(こうおんほじさっきん) |
生乳を保持式(ほじしき)※1で75℃以上で15分以上加熱殺菌する方法 | |
高温短時間殺菌(HTST)(こうおんたんじかんさっきん) |
生乳を72℃以上で連続的に15分 以上加熱殺菌する方法 |
|
超高温瞬間殺菌(UHT)(ちょうこうおんしゅんかんさっきん) |
生乳を120〜150℃で2〜3秒間 加熱殺菌する方法 |
耐熱性胞子形成菌(たいねつせいほうしけいせいきん)を死滅させるのはこの方法のみで、低温保持殺菌(LTLT)に比べ1万倍もの高い殺菌能力がある |
保持式(ほじしき):生乳をタンク内でかくはんしながら一定の温度を保持して殺菌する方法
連続式(れんぞくしき):生乳が加熱されたプレート間を通過することで一定の温度を保持して殺菌する方法
ESL(Extended shelf life)製法で作られる牛乳は、通常の牛乳と同じように生乳を高温で殺菌して容器に詰めたものですが、牛乳を詰める前の容器に紫外線を当てて殺菌し、空気などが衛生的に管理されている部屋でパック詰めをするなど、すべての工程で無菌状態に近づける工夫がされているため、通常よりも長い賞味期限にすることができます。
※通常の賞味期限は「製造日+1週間程度」、ESL製法の場合「製造日+2週間程度」
LL(Long life)製法は、通常よりも高い約135〜150°Cの高温で1〜3秒程度の殺菌をし、光や空気を遮断するアルミ箔張りの紙容器に無菌状態を保った方法で詰めることで、細菌汚染の原因をできるだけ少なくしているため、常温での長期保存が可能となります。
私たちが普段「牛乳」と呼んでいるものには7つもの種類があります。
それぞれの種類は食品衛生法に基づく「乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)」という法律で決められています。
種類 | 特徴 | 乳脂肪分 | 生乳の 使用割合 |
---|---|---|---|
牛乳 |
|
3.0% 以上 |
生乳 100% |
特別牛乳 |
|
3.3% 以上 |
|
成分調整牛乳 |
|
ー | |
低脂肪牛乳 |
|
0.5%~ 1.5% |
|
無脂肪牛乳 |
|
0.5% 未満 |
|
加工乳 |
|
ー | ー |
乳飲料 |
|
乳固形分3.0%以上(公正競争規約による) | ー |
牛乳の容器には、乳脂肪分と無脂乳固形分(牛乳から乳脂肪分と水分を除いた成分。タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど。)が何%含まれるか表示されています。
牛乳に含まれる脂肪(脂質)のことを乳脂肪分(にゅうしぼうぶん)といいます。
市販牛乳の乳脂肪分は牛乳100g中約3.8gで、均質化された牛乳では水分中に小さな脂肪球(0.2~0.5μm直径)として均一な状態で混ざっているため、消化吸収が良いのが特長です。
この乳脂肪分が多く含まれているとコクのある味わいになります。
牛乳パックの屋根型紙パックにある「くぼみ」を見たことはありますか?
これは、「切欠き(きりかき)」といって、目の不自由な方などが、触っただけで種類別「牛乳」ということがわかるようにした工夫です。
牛乳は3大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物に加え、ミネラルやビタミンA、ビタミンB2などを豊富に含み、栄養バランスが優れています。
これらの栄養素は、お互いの働きを補い、消化吸収しやすくしています。
※コップ一杯の牛乳を飲むことで、それぞれの栄養素における一日の食事摂取基準をどの程度補えるのかを表しています。
栄養充足率
栄養素量
食事摂取基準
エネルギー(kcal)
たんぱく質(g)
脂質(g)
炭水化物(g)
ナトリウム(mg)
カリウム(mg)
カルシウム(mg)
マグネシウム(mg)
リン(mg)
鉄(mg)
亜鉛(mg)
銅(mg)
ビタミンA(μgRAE)
ビタミンD(μg)
ビタミンE(mg)
ビタミンK(μg)
ビタミンB1(mg)
ビタミンB2(mg)
ナイアシン(mgNE)
ビタミンB6(mg)
ビタミンB12(μg)
葉酸(μg)
パントテン酸(mg)
ビタミンC(mg)
7.1%
138
13.6%
6.8
14.4%
7.8
3.5%
9.9
3.1%
85
11.9%
310
34.9%
227
7.8%
21
24.0%
192
0.4%
0.04
10.0%
0.8
2.5%
0.02
12.0%
78
10.9%
0.6
3.3%
0.2
2.7%
4
7.3%
0.08
25.8%
0.31
11.8%
1.3
5.0%
0.06
25.0%
0.6
4.2%
10
28.5%
1.14
2.0%
2
1,950
50
*
54
**
280
**
2,756
**
2,600
**
650
*
270
*
800
***
10.5
*
8
*
0.8
*
650
*
5.5
***
6
***
150
***
1.1
*
1.2
*
11
*
1.2
*
2.4
*
240
*
4
***
100
*
0
20
40
100%
*
:推奨量**
:目標量***
:目安量出典
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
からだの様々な機能を調節するはたらきがあります。
骨や歯をつくる材料になるほか、筋肉を動かすこと、気持ちを落ち着かせるために必要な神経細胞のはたらき、けがをしたときに必要な血液の凝固(ぎょうこ)などにも深く関わっています。特に骨との関わりは深く、カルシウムが不足する状態が長く続くと、骨粗しょう症になってしまう可能性もあります。
牛乳にはビタミンB2、ビタミンB12が多く含まれます。
ビタミンB2は別名「成長ビタミン」とも呼ばれ、コップ1杯(200ml)で小学生の1日あたりの摂取推奨量の約20%を補うことができます。
また、ビタミンB12は血液をつくるために重要な役割を担っています。乳幼児期は成長に深くかかわることから、特に気を付けて摂取したいビタミンです。
生乳は加工方法の違いによって、牛乳以外にも様々な形の乳製品になります。
また、乳酸菌などの活用によって栄養機能性が高まるなど、乳の特徴を活かして乳製品が作られます。
料理に合わせて色々な乳製品を食べてみてください。
それぞれ3つの選択肢の中から一つ答えを選択して、最後に答え合わせをしてみよう!
画像はイメージです
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1L
酢またはレモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ5
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1L
酢またはレモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ5
画像はイメージです
ほうれんそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200g
鮭の切り身・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2切れ
小麦粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
塩コショウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1カップ
コンソメ顆粒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
ほうれんそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200g
鮭の切り身・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2切れ
小麦粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
塩コショウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1カップ
コンソメ顆粒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1